子供は二人ですが、われわれの住む地域では高校から家を出て寮生活をする子も多いということもあり、コスト面も考慮し、一人一部屋ということは考えず、子供部屋一間、大人部屋一間、それにダイニング&リビングというごくこじんまりとした家を建てました。
沖縄では圧倒的にコンクリートの家が多いのですが、どうしても木の家にしたい、ということで、本当なら地元の業者さんに頼みたかったのですが、遠い那覇の業者さんに依頼しました。意外なことに、このあたりで建つ家はほとんどがコンクリートなので、ノウハウがないそうなのです。この那覇の建築やさんは母体が材木やさんで、国産材を推奨している点など私たちの好みにぴったり。そして、現場担当の男の子が若いのに志もしっかりしていてとても機転が利いたおかげで、あらゆるものごとがひじょうにしっくり行きました。
ものつくり仲間には自分で家を作ってしまう器用な人がたくさんいるので、やってみたいな〜という思いはありました。あるいはハーフビルドといって、基礎部分は建築業者にお願いして、あとの請負、つまり各業者さんに指示を出す部分は自分でやってコストを抑えるというスタイルも考えました。が、根性もなく、ごく一部自分たちで請負という形にしてもらって、ほぼ全面的に注文住宅となりました。建築やさんは非常に良心的に取り組んでくださったと思っています。
今まで借りてすんでいたところは、昔ながらの木の沖縄の家で、屋根が低くてひさしが長いので強い日光や雨が家に入るのを防ぐなど合理的な面もあったしやはり雰囲気がいかにも沖縄らしく、気に入ってはいました。しかし、何せ古い。古いということは、あちこちガタが来ているということでもあり、現代人の生活に合わない(天井が低い、キッチンの使い勝手が悪いなど)ということでもあります。そして、奥の部屋は床がべこべこで使えなかったので、とても狭かった。いつかは自分の家を、という気持ちがあって修理は必要最低限にした結果、2年以上も不便な思いをすることになってしまいました。
ところがこの家に住んだおかげで、空気が通る木造のよさを確信しましたし、今の家に移って、トイレが水洗になってしかも家の中にあるとか、天井が高いとか、広いとか、床が固いとか、キッチンが使いやすいとか、ささやかな設備にもかかわらずいちいち感動できています。引っ越す直前は、早く移りたいはやる気持ちがあって「こんな家」なんて思ってしまう瞬間も多かったのですが、こういうところに住まわせてもらったことに対し感謝の気持ちを忘れずにいないよう気をつけたいです。
前の家では、あちこちで補修に使われていたコンパネやベニヤが年数が経ってぼろぼろになっていて、天井から猫やごみは落ちたりして耐久性のなさを目の当たりにしたので、今度の家では合板の類を極力使わないことにこだわりました。建築やさんは、今の合板は質がいいから長持ちする、というのですが、20年先のことはわかりません。前の家でも木で作ったところはしっかりしていましたから、木に固執しました。なので、内壁外壁床はもちろん、ベニヤやコンパネを使うことが多い押入れ内部や野地板(屋根材の下地)にも杉板を使いました。面が広い合板に比べ、板は細いので大工さんの手間が大変でしたが、押入れなどはわざわざ杉や桐の収納ボックスを買って湿気に対応していたくらいなので、カビや湿気対策にはずいぶん有効なのではないかと思っていて、とても気に入っています。野地板には厚さ3センチの足場板を使い、断熱効果も考慮されています。(ちなみに屋根材は一番安いコロニアルという材質です。断熱性にも優れる憧れの赤瓦はやっぱり高かった)

上のほうで気持ちよさそうに泳いでいるのは、チューマさん作のウミカメの時計。前の家からわれわれの時を刻んでくれています。
建具も、サッシは浴室だけで、あとはすべて木製にしました。栃木で木製建具にした友人はとても高かったと言っていたので無理かなと思ったのですが、なぜかこちらではサッシとさほど変わらない値段でした。雨戸はルーバータイプを提案してくれました。ルーバーは雨を防ぐ点では普通の雨戸に劣りますが、雨や日光を遮りながら通気性も得られるので、これはナイスアイデアでした。
木製建具を使うところは今はめったにないそうで、大工さんたちも取り付けに苦労しているようでした。

壁は前にも言いましたが自分たちで漆喰を塗りました。私も塗りましたが、7月の一番暑いときで、漆喰は重くて私にはかなり重労働でした。二人でまるまる2週間くらいかかってしまいましたから、家を全部自分で作る人って本当にすごいです。また大工さんたちも、毎日どんな気候でも重労働をこなしているのだから、頭が下がります。(しんどそうな顔をして漆喰を塗っていたら、逆に飲み物やアイスを差し入れてくれる、やさしい大工さんたちでした。)
仕上がりは素人なのでそれなりですが、一部でも自分たちで手を入れたと実感できるので満足です。
床と柱には蜜蝋ワックスを塗りました。着色もしていないので、ウレタン塗装などと比べると格段に汚れがつきやすく、床はすでに新築とは思えないような状態ですが、年を経れば味が出てくる・・・はず。これも自分たちで塗りました。こちらは意外と簡単です。

畳は、山上のたっての願いで縁なしのものにしました。い草は「琉球ビーグ」と呼ばれる沖縄産のもので、普通のい草より太くて丈夫だとか。縁なしの畳を「琉球畳」というのだと栃木にいたころから聞いていたのですが、それは内地での言い方なのか、こちらでは地元の人は縁なしの畳を「見たことがない」というし、謎です。でもとにかく、新品の畳は私にとっては覚えている限りはじめての経験なので、匂いをかぐたびに幸せがこみ上げてきます。
木に囲まれているからか、天井が高いからか、冷房なしでもとても涼しいことには驚きます。ただし場所柄湿気はすごいです。

今度の場所からは仕事場が見えます。下には小さな川が流れています。

庭からの景色。環境的には栃木のときと似通っているから不思議です。
皆様のお越しをお待ちしていま〜す!